Wandering Star Line

まあ楽しくやろうぜ

2021.02.01 宮野真守さんの「アンコール」はキャラメルポップコーンの匂いがするという話

比喩ではなく。

そもそも「劇場版うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEキングダム」のエンディングテーマである「アンコール」を私がちゃんと聴くことは多くない。これはうたプリの民である友人も同じことを言っていたのである程度の同意は得られるものと思うが、聴くと一気にエンドロールが目の前に蘇ってしまって意識のリソースを激しく食うため、生半可な状態では聴きたくないのだ。免許を持ってないので断言はできないが、おそらく車を運転していたら事故ると思う。ちなみにほぼ同じ棚に入っている曲がアンドレア・ボチェッリの「Io Ci Saro」であり、これはもっと状態が激しくて、この曲が耳に響いていた自分の時間をそのままで止めたいという理由から、あれ以降(つまり札幌の全日本以降)(2015年12月…)聴くことはほぼない。

それでもたまにプレイリストの流れで「アンコール」がiPodから流れてくることがある。イントロのピアノの低音が響いた瞬間、キャラメルポップコーンの匂いがする。シネコンの匂い。比喩ではなく。本当に匂いがするんだ。幾度となく入国しに通ったあちこちのシネコンの、少し塩気のある甘い匂い、なめらかな絨毯とシートのざらざらした感触、廊下の音を吸う感じと、一転してシアター内の天井の高い感じ。あの頃、入国して100分して「アンコール」が始まるたびに、突然現実の感覚に戻るような気がしていた。エンドロールが始まると、ふいに現実の座席の感触や空間の匂いが体に入ってくるのだ。今、それが逆に「映画を観に行くという非日常」の感覚として喚起されるのはとても面白く、そしてせつない現象である。

アンコール

アンコール