Wandering Star Line

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2015.07.24 俺さにわ本丸の大阪城地下の物語 後編

俺さにわ本丸の大阪城地下の物語(前編) http://tinamiya.hatenadiary.com/entry/2015/06/30/2015-06-30/

友人に説明する用に大阪城地下の顛末探してたら、一番ドラマチックな最終章をまとめてメモっていなかったことに気づいた。ダメじゃん!!


 タイムリミットまで1週間。レベルが上がってきたこともあり戦闘のペースはどんどん上がって行った。40階台は雑魚をまとめて岩融が削る、残った金槍の刀装を一期一振が剥ぎ、山姥切国広が深手を負わせ、鶴丸国永がとどめを刺す。討ち漏らしがあれば控えていた長曾根がそれを始末する。流れるようなコンビネーションが完成されて、最初はお互いの距離を探りながらだった部隊も、会心の笑みを見交わすようになっていた。隊長ということもあり一期一振のレベルは山姥切国広のそれを少しずつ越えてゆき、刀装補正もあって速さも力も頼り甲斐のあるものになっていた。高速槍は防ぎ切れず、常に部隊の誰かが怪我をしている状況ではあったけれども、その緊張感すら絆を深める。適正レベルというのはあるもので、久々に覚える快い手ごたえと連携の気持ちよさに、山姥切国広はこのままずっとこの連中とこうして戦ってゆきたいと考え始めていた。それは、おそらく他の面々も同じ感覚だったのだろう。

 48階、49階。そして50階。危なげなくボスを倒す。博多藤四郎が最初に見たのは兄である一期一振の姿だった。本丸では栗田口の兄弟が揃っている場面になど首を突っ込まなかった山姥切国広は、ほとんど初めて見る一期一振の長兄としての表情、嬉しそうな笑顔に少し驚きと感慨を覚える。山伏は、堀川はどうしているかな。彼は大阪城に来てからほとんど考える暇のなかった、本丸の仲間のことを思い出していた。次郎太刀は、蜂須賀虎徹は、へし切長谷部は、…ふとよぎる脳裏に、やっと加州清光と三日月宗近の顔が浮かんだ。この半月というものすっかり考えるのを放棄していのだ。それに気付いて、驚いた。

 今後、いかがしましょうな。一期一振の提案に、半月を共に過ごした6人の考えは同じだった。もう少し、この仲間と戦いたい。審神者にこのまま51階へ降りることを許可してほしいと願い出た彼らは、しかし最初の部屋でここから先がこれまでとは全く違う戦場であると知ることとなる。

 山姥切国広の中から三日月宗近の影を少し引き離すこと、そして他の太刀との絆を育むこと。この先も戦いたいと申し出た彼らの願いは、審神者の思惑を十二分に叶えるものだった。だから危険は承知で、ボーナスのつもりで許可をした。「適正レベル外だから、とにかく刀装は1部屋ごとに満タンまで補給をすること。誰かが中傷になったら絶対に帰城すること、そしてそこでこの部隊での攻略は解散にする。いいね」審神者の念押しに従い彼らはそろそろと一部屋ずつ進んでいき、3つ目の部屋で、それは起こった。

 山姥切国広を愛好する審神者が良く知る事実として、彼は生存と統率を犠牲に機動と衝力を得ている、というものがある。つまり、鉄砲玉のような動きができるが、本人じたいは「脆い」のだ。それがどういうことになるか。

 3部屋目。遠戦の集中砲火で盾兵を削られて防御が下がり、白刃戦でこちらが仕掛ける前から敵槍の滅多打ちを浴びた。金刀装2個に体力ほぼフルの状態から一気にHP1。彼が新米の審神者とともにこの世に顕現してから、一度も経験したことのなかった瀕死状態だった。

 「血で汚れているぐらいでちょうどいい…」
 「そういう驚きは要らないんだよ!」

 どうにか残った5人で敵を倒し切ったが、本丸でなければ「魂の乗り換え」は行えないため、破壊寸前に傷ついた肉体の器に閉じ込められたままの彼を部隊の皆で本丸への転送点まで運んだ。運び役は岩融と長曾根が交代で担った。大阪城遠征に審神者がかかりきりの間暢気そのものであった本丸は、久々にばたばたした空気に包まれることになった。

 山姥切国広は即手入れ部屋行き、5時間半。審神者は、手入れが終わったら第一部隊でもう少し大阪城を掘るようにと命じた。目が覚めればもう元の、レベル70の身体に戻るであろう彼は、手入れに消える前にこうつぶやき残した。

 「このまま、朽ち果ててしまっても、構わなかったんだがな」

 それは、文面通りのいつもの彼の自虐だったのか、それとも大阪城を共に過ごした彼らの身代わりになれたなら本望という意味だったのか。

 遠戦も含めた敵の一巡目の攻撃をほとんど山姥切国広が引き受けたため、残った者はこの戦闘では刀装含めほぼノーダメージだった。隊長であった一期一振も例外ではなかったが、そう言って手入れ部屋に消える彼を見送る顔は酷く厳しく、蒼白だった。帰ってきたときから真っ青だったのだ。副隊長をこうさせて自分は無傷だったこと、副隊長が他ならぬ自分を顕現させ大阪城で戦い方を一から教え支えてくれた山姥切国広であったこと。最初に言った通り50階から先は適正レベルではなかったんだからお前の責ではないよ、彼はきちんと私の力で元通りになるのだからそう思いつめずとも好い。そう審神者に諭されても、まだ含まぬ顔だった。レベル70の器に戻った彼が、またレベル30の自分と同じ部隊で戦いに出ることはないだろう。共に出るのはあの第一部隊の面々だ。山姥切国広が意識を失っている間、少しだけ鶴丸国永に彼の本丸での因縁を聞いた。三日月宗近のこと。加州清光のこと。そんな素振りを露ほども見せなかった大阪城地下。楽しそうだと思った。楽しかった。夢だったのだろうか。

 「浪速のことは、夢のまた夢、…か」

 元主の辞世をふとつぶやくと、一期一振は主から命ぜられた鶴丸国永との手合わせの支度をするべく、手入れ部屋の前を後にした。

 俺さにわ本丸の大阪城地下の物語(本編) おしまい!
 展開はほぼ脚色がありません。起こったことをそのまま書いただけよ。


 ちなみにその後一軍(山姥切国広・加州清光・三日月宗近・骨喰藤四郎・鶯丸・蛍丸)で65階まで行くのですが、隊長以外の長期オフ明け組が完全に戦闘カンがバカになっていて審神者を激怒させたのが番外編。

 『長期オフ明けの一軍が大阪城の地下でキレーイに槍「だけ」よけて攻撃するのでさにわまじおこなんですけど、この子たちなんなの?バカなの?Mなの?オフ明けで完全に腰抜けになってんの?みかづきさん槍に狙われすぎ→真剣必殺出たー!→槍の隣の短刀狙い!のあの脱力感 おじいちゃんアホかーー!!!!!』

 大体他のメンバーは1階層ぐらいで勘を取り戻してくれたのですが三日月宗近だけがいつまでたっても挙動がおかしく、手入れの資源もバカにならないため「色ボケじじいはコスパが悪すぎる」と55階ぐらいで部隊外されたというオチでした。ひどい。